いすみ市「住みたい田舎」首都圏エリア1位 移住者向け雑誌で 東京に近く、支援充実 有機農業も追い風

自然由来の肥料で野菜を育てる宮川さん夫婦=いすみ市
自然由来の肥料で野菜を育てる宮川さん夫婦=いすみ市
移住イベントで相談に乗るいすみ市職員(同市提供)
移住イベントで相談に乗るいすみ市職員(同市提供)

 いすみ市が、移住者向け雑誌の「2024年版 住みたい田舎ベストランキング」で首都圏エリア総合1位になった。移住先として高評価を受ける理由はどこにあるのか。東京からほどよい距離にあり、移住相談やサポート体制の充実などが挙げられるほか、市内で行われている有機(オーガニック)農業が追い風になっている。

(勝浦支局・伊藤義治)

 ランキングは「田舎暮らしの本」(宝島社)が発表。移住定住策に積極的な自治体にアンケートを行い、移住支援策や医療、子育て、自然環境など278項目で独自に点数評価。いすみ市は49自治体から回答があった首都圏エリアで世代別全3部門でトップとなり、総合1位に輝いた。

◆受け入れ環境整備

 いすみ市は外房地域の夷隅、大原、岬の3町が合併して05年に誕生した。海も里山もあるまちになり、JR大原駅まで東京駅から特急で70分余り。移住した理由を尋ねる市企業誘致・移住交流室のアンケートで「自然豊かで東京に近い」との回答が最も多く、移住先に選ばれる大前提に都内へのアクセスの良さがある。

 功を奏したのが、市が合併直後から力を入れてきた移住促進策。先輩移住者やUターン者が移住前・移住後の相談に乗る仕組みを作ったり、市内に数日間滞在するお試し居住を実施したりして、移住に関する生の声を聞ける機会を充実させ、支援体制や受け入れ環境を整えた。

 オンライン相談もあり、SNSによる移住者同士の情報交換が盛んで、毎週のように開かれるミニマルシェが住民交流の場に。さらに移住の追い風になっているのが、農薬や化学肥料を使わない有機農業だ。

◆食への関心

 有機米「いすみっこ」の生産を市が推奨し、17年に全国初の学校給食100%有機米を実現。給食の野菜8品目も有機食材が使われ、市独自の有機野菜ブランド「いすみそだち」の認証制度を昨年創設。食の安全を意識する子育て世代などが関心を寄せる。

 「いろんな人からうらやましがられるんですよ。『いすみはオーガニック給食なんでしょ』って」。駒井夏 ・・・

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